初めましての方もそうでない方も、こんにちは。Yokosawa Masatoというメイクセンスしてる者です。ご存知ない方は@MasatoYokosawaのTwitter、またはGoogleでMasatoYokosawaで検索してみたりして頂けると恐縮です。

突然ですが今日、Twitterでこのようなアンケートを取ってみました。

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実はこの問題、僕はチェックコールが正解に近いと思っていながら、恐らく多くのプレイヤーがCBを打つ方を選択するのではないか?と思い、半ば引っ掛け気味に出題し予想通りの投票結果になりました。

この問題に対する考え方や計算を後でまとめてアップロードしようとしたのですが、あまりにも文字数が多くなりすぎてしまうため、人生初の、なでがたポーカー通信の場をお借りして色々語ってみたいと思います。

 

CBを打つ理由とは?

まず、多くのプレイヤーがベットする理由として、ハンドをオーバーカードからプロテクトする、という理由が挙げられます。

しかし、このプロテクトという考え方は平たく言えば自分のハンドが現状勝っているから、相手にアウツを引かれないように降ろす、という考え方ですが、実際のポーカーにおいては、今回のように勝っているのか負けているのかわからないような状況の方が圧倒的に多く、うっかり負けてるハンドでポットを大きくしてしまいがちです。

ポーカーにおいて大切なのは、いかにポットを取るか?ではなく、いかに負けてる時の損失を抑え、勝ってる時の利益を最大化するかという事です。つまり、そのハンドの価値を最大限まで活かす事とも言えるでしょう。

では、今回のこのペア6は、この場でポットを取るためにプロテクトする(降ろす)事を第一目標にするのが最も利益的なのでしょうか?それとも、ショーダウンバリューのあるハンドとしてターン以降のストリートを戦いに行くべきでしょうか。

この問いに明確な答えは無く、相手やテーブル、それまでのハンドヒストリーによって正解は変わってしまいます。

とは言った物の、ここまで偉そうに説明しておきながら、詳しい話をせずに終わってしまっては、プロの名が廃るという物です。ここからは、相手の仮想レンジに対して、この66の価値がどれだけあるのか?を計算していきたいと思います。

 

チェックした時の期待値

まず、こちらのCOからの3bbオープンに対するBUのコールレンジを想定してみましょう。
このシチュエーションでのCOに対する標準的なBUからのプレイバックレンジ(3betかコールするレンジ)は
10~15%ぐらいで、かなり硬いプレイヤーでも上位5%のハンドは3betしてくるのが一般的と考えて
今回は相手の設定レンジを下記のような上位5%を抜いた8.75%と設定してみます。

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※実際にはこのようなシチュエーションでのBUからのコールレンジが極端に少なく、ほぼすべて3betにまわすというようなプレイヤーもいますが
ここ最近の100NLや200NLのレイトポジション同士での対決では、比較的強いハンドをコールドコールに回すプレイが主流のように思えるので、今回はフィールドのトレンドも加味した上で、広めのコールレンジを設定しました。

 

まず、このレンジに対するフロップでのこちらのエクイティを計算してみます。

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このように54.5%のエクイティがあり、フェイバリットな事がわかります。
もし、このハンドをチェックした場合、向こうがどんなレンジでベットやチェックバックをしてくるかは現状わかっていませんが、これだけ勝っている可能性が高ければ、チェックした場合は向こうのベットにもコールできそうです。

当然ベットされずにチェックアラウンドで進む事もありますが
チェックした後のポストフロップのプレイを、こちらが完璧にプレイできると仮定した場合
現在ポットにある6.5$のチップのうち今あるエクイティの54.5%である3.5425$が自分の物になるはずなので
チェックした時のこのハンドの価値は3.5425$と仮定してみましょう。

 

ベットした時の期待値

では、ベットした場合はどうでしょうか。

相手はプリフロップで比較的強いハンドも3betせずにコールに回しているため
広いレンジでプレイしているであろうCOからのコンティニュエーションベットに対して、このフロップでは
バックドアフラッシュドローのあるA♢T♢、K♢J♢、Q♢J♢のようなハンドは1度コールしてターンやリバーでアウツを拾うか、ブラフに切り替えるかというようなフロートに近いプレイをしてくるのが一般的でしょう。
今回の向こうのレンジ全体の中から、コールできそうなハンドは上記のようなバックドアフラッシュドローのある強い2オーバーカードとAJハイ、その他ペア、弱いフラッシュドローをピックアップすると
このような3.85%のレンジになります。(強いフラッシュドローに関しては後述します)

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※実際に、COがコンティニュエーションベットのレンジをバランスしている強いプレイヤーの場合、BU側はQdJdのようなハンドはフォールドするべきで
コールできるのはバックドアフラッシュドローのあるAハイ以上になりますが
100NLzoomにおいては、アウトオブポジションからミスしたフロップでとりあえずCBを打つというようなプレイヤーが比較的多く
インポジションからのCBに対するコールレンジは、適正値より少し高くなっていると思います。

 

さらに、このレンジにコールされたときのエクイティを計算してみましょう。

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このように41.1%のアンダードッグでターン以降をプレイすることになります。

つまり、ベットにコールされたら負けているベットなので、フロップでのこのベットはバリューベットとしての役割は薄く、ポットを取るためのベットと言えそうです。

コールされた時は、チェックを選択したときと同じように
ターン以降をエクイティ通りに完璧にプレイできると仮定するので
このアクションになった時のハンドの価値は4.5$を支払って、ターン以降の15.5$のポットの41.1%である6.37$を手に入れるのと同じことになり
期待値は15.5*0.411-4.5=1.87$になります

 

では、コンティニュエーションベットにレイズされるのはどんなレンジでしょうか?

ここでは相手のレンジの中に存在するすべてのセットと、Qハイ以上の強いフラッシュドローでレイズされると仮定すると、下記のような1.36%のレンジになります。

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ちなみに、このレンジに対するエクイティは27.7%あり、向こうのフロップでのCBに対するレイズが2.5倍だった場合
ぎりぎりオッズコールできることになりますが、このフロップで66をレイズされた場合に向こうの2オーバーフラッシュドロー、セットに対して
レイズをコールするというのはあまり現実的ではないので、ここではレイズされた場合はおとなしくフォールドする事にします。
なので、レイズされたときのハンドの価値は単純にベットした4.5$をミスすることになるので-4.5$になります。

そして、上記のコールレンジ、レイズレンジ以外のハンドはすべてフォールドしてくれる事になるので
相手のCBに対するフォールドレンジは3.62%となり、相手がフォールドした場合、6.5$のポットをそのままもらえることになるので
このときの価値は+6.5$になります。

ここまでで、すべてのアクションに対する価値がハッキリしたので
あとは発生頻度を計算してみましょう。
相手がこちらのベットに対してコールする割合は8.75%のレンジのうち3.85%なのでコールされる確率は44%、フォールドする確率が41%、レイズされる確率は15%だとわかります。
これを上記で計算した期待値に当てはめていくと
相手がフォールドした時の期待値 0.41*6.5=2.665
相手がコールした時の期待値 0.44*(15.5*0.411-4.5)=0.823
相手がレイズした時の期待値 0.15*-4.5=-0.675
となるので、こちらがフロップでCBを選択したときのトータル期待値は2.665+0.823-0.675となり最終的なベットの価値は+2.813$となります。

先ほどチェックした時のハンドの価値は3.5425$と計算したので、今回想定した相手に対してはチェックコールの方がプラスという事になります。

 

GTO的にはどうなの?

ちなみに、みんな大好きスノーウィー先生に聞いてみると、こんな感じの解答をくれました。66
ベットした場合はエラー扱いになります。つまり、チェックした方がいいよ、と答えてくれました。

 

この計算を実戦に活かすには

ここまで細かい計算をしてきましたが、実際のプレイ中にこのように細かい数字算することは不可能ですし
想定している相手のレンジはあくまでも想定でしかないので、相手のプリフロップのレンジがさらに広くなったり
相手のフォールドレンジがさらに広くなる、といったような実戦において、このような計算が役立つとは限らず、あくまでも知的好奇心を満たすための研究に過ぎないのは事実です。

しかし、この想定通りに事が進んだ場合はベットよりもチェックコールの方が勝る、という事実はわかりました。

このレンジを基盤に考えると、実戦において向こうのレンジがどう変化したら、こちらの戦略をどう変えるかがわかってきます。

例えば、相手がフロップで強いフラッシュドロー等のハンドをレイズしてこない場合は、レイズされる頻度が減り、コールされた時のエクイティが上がるため、ベットした方がよくなる事がわかります。
また、相手のプリフロップのレンジが更に広くなった場合、こちらのCBに対して降りるハンドのレンジが更に広まるので、その場合もベットが勝るという事実もわかります。
更には、相手が同じレンジでプレイしている場合でも、こちらのベット金額がこれよりも安い2$だったらどうなるでしょう?
同じように安くベットしても、相手のプレイするレンジが変わらないとしたら、レイズされたときの損失を抑えることができるので、ベットが勝ることになりそうです。

実際に僕がこのようなシチュエーションに出くわした場合、チェックコールするか、安めにベットするかの選択肢を取る事が多く、大きなベットをする事は稀です。

バリューのなさそうなハンドでのプレイとして、安めのベットをするというのは有力な戦略ですが、この話は長くなりそうなので、また機会があればする事にしましょう。

話が少し逸れてしまいましたが、いくら相手のレンジを的確に見抜けていても、そのレンジに対して正しくプレイする方法を知らなくては、勝つ事はできません。

今回のような手間のかかる計算を毎回する必要はありませんが、このような計算をすることで、より具体的な数字を知る事が出来ますし、こういった話題でポーカー仲間と研究をしてみると、自分と周りのプレイヤーの想定するレンジの違いに驚く事もあるかもしれません。

ポーカーにおいて、ある特定のシチュエーションだけを研究する事は時間の無駄になってしまうことも多いですが、そこから得られた計算結果を基に、様々なシミュレーションをしてみると新たな発見もあるでしょう。

こういった研究方法も、ある一つのハンドを考察する場合に1つのアプローチになるのではないでしょうか。
現場からは以上です!

よこさわ